昔では考えられなかったマナーの悪さが評判になっていることの一つに、救急車の利用があります。

というのは、救急車は本来、緊急を要する疾病の際に呼び、応急対応してもらいながら病院へ患者を搬送するものです。

しかし最近は、軽症にも関わらずに「タクシー代を節約したいから。」「病院の待ち時間が面倒だから。」と救急車を呼ぶ人がいます。酷い場合には、「話し相手が欲しかったから。」なんてこともあります。これらは酷い例ですが、実際に救急車の搬送の約半分が軽症だとも言われています。

このような本来不要な救急搬送を行うことは、大きな問題点を作りだすことになります。

まず、救急車の出動が増えているために、本当に緊急性のある患者の対応が遅れることです。

もちろん患者の元へ出動しないと言う訳ではありませんが、必要以上に出動している場合、本来必要な人の近くにあるはずの救急車が対応できなくなり、遠方の救急車で対応することになって時間が掛ってしまう可能性があります。そうなると一刻を争う患者の命を助けることが出来なくなってしまいます。

また、救急車だけでなく受け入れる側の病院の負担も増えます。ただでさえ救急医療の現場は人手不足と言われています。それに加えて軽症での救急での受診は、通常以上の勤務の負担になります。

救急車はみんなの税金で賄われています。ということは、ある意味言葉が悪いかもしれませんが、税金の無駄使いになりかねません。

そもそも軽症なのに重症を装って救急車を呼んだ場合は消防法違反になりますし、消防機関の業務を妨害する(偽計業務妨害罪)と判断されることにもなりかねません。

ただ、現実問題として救急の出動が多いのは、社会の高齢化という点もあります。高齢者はどうしても急病になったり、様態が急変することがあります。軽症重症の判断も難しいですし、高齢者が多いということはそれだけ救急車を呼ぶ状況が増えるということです。

ではどうすればいいのか、という解決策も検討されていないわけではありません。

簡単に救急隊員や救急救命士を増やせばいいじゃないかということを言う人がいますが、実際に増えています。それ以上に救急車の出動が多いと言うことがあります。そう単純には解決できる問題ではないのです。

他に救急相談センターを活用するという手があります。急を要するものなのか、慌てなくていいものなのかの判断は、素人にはわかりません。だからこそみんな救急車を呼んでいるのですが、ここに電話で相談することで救急車の無駄な出動を減らせることができます。

しかし、それも万全な解決策にはなっておりません。地域によって電話番号も違いますし、まだまだ知られていないという面もあります。もっと周知して活用できるよう、整備をする必要があります。

救急車の有料化の話も出ていますが、これもまた問題点があります。

お金を払っているからこそのサービスを求められる・経済困窮者が救急車を呼ぶのをためらう、料金処理の事務負担、などが挙げられます。

本来、救急車は市民の命を守る為に出動するものです。これがかえって市民の命を危ぶむものになってしまったら意味がありません。

救急車を呼ばなければいけないほどの重症か、それとも軽症なのかの判断は確かに素人には難しいです。しかし、まず私たちにできることは、冷静な判断でもって救急車を呼ぶことではないでしょうか。